Kすけ日記

32歳独身一人暮らし男とネコ

人新世の資本論 ~地球に住めなくなってしまう前に~

地球温暖化という問題が大きく取り沙汰されるようになってどれくらいになるでしょうか。
僕の記憶では、小学校高学年の授業では取り上げられていたと思います。オゾン層酸性雨温室効果ガスという言葉を知ったのもその頃でした。
地球温暖化という問題を初めて認識してから20年以上が経過しているという事になります。
その間、地球温暖化という問題に対して、具体的に何かをしていたかというとそうではありません。環境破壊によって地球温暖化という現象がどんどん進行しているという事実を「知っている」だけでした。

改めてこの問題を意識するようになったのは、ここ2,3年の事です。
キッカケは読書。4年前から読書の習慣を身につけようと思い、本屋さんへ通うようになりました。そしてサピエンス全史という本に出逢い、ユヴァル・ノア・ハラリという歴史学者の事を知ります。彼の著書21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考の中で、環境破壊について取り上げられている章を読んで衝撃を受けました。
環境破壊、地球温暖化、気候変動という問題は、すでに「待ったなし」の状態。このままでは30年後には地球に住めなくなる。1%の超富裕層だけが生きられない世界になるというのです。
左官という仕事に就いて6年が経ちます。毎年のように感じていた「去年より暑い」という感覚。錯覚だと思ってなんとくなく認識していたこの感覚が、環境問題の現状を知る事で恐怖に変わりました。

近年、毎年のように豪雨や超大型台風が日本列島を襲うようになりました。世界に目を向けると、強烈な熱波によって気温が50度を超える地域や、制御不能な山火事なども発生しています。まさに異常気象。
今すぐ何か行動を起こさなければ。と焦りが出てきました。
しかし、これまでまともに勉強をしてこなかった僕の頭では、何をどうしたらいいのかわかりません。身近な人の意識を変える事すら難しいでしょう。
そこでまずは「知る」ことが大事だと思い、YouTubeや書籍で環境破壊に関連する情報に触れるようになりました。
その中で京都議定書やパリ協定の事を知り、グレタ・トゥーンベリさんが発信しているメッセージの意味を理解しました。世界情勢や政治にも関心が出てきています。
まだまだ勉強不足ですが、僕と同じレベルにいる人たちへ、何か発信できるのではないかと思いこのブログを書いています。
前置きが長くなりましたが、今回は斎藤幸平さんの著書を紹介したいと思います。


人新世の「資本論」 (集英社新書)
SDGsは大衆のアヘンである」
グローバル化により、急激な経済成長を遂げた先進国。それにより生じる代償は発展途上国へ転嫁されていく。
発展に伴う犠牲を外部に転嫁することで不可視化する。これの繰り返しにより、格差は広がり、様々な社会問題へと繋がっていく。
資本主義を痛烈に批判し、SDGsグリーンニューディールといった施策は不十分で、気候変動を止める事はできないと指摘する。
マルクス資本論は未完であり、晩期マルクスの思想を考察することで、根本的な解決策が見えてくる。
キーワードは「コモン」。
脱成長コミュニズムを主体に環境問題へ向き合う事で、社会的格差をなくし、生活を豊かにし、気候危機を止める事ができる。



今、大々的に打ち出されている施策を批判するだけでなく、明確な代案を提示します。
多角的にみると、著者の提言する「脱成長コミュニズム」には批判される部分もあるのかもしれません。
ただ、僕は実現可能だと思い、「未来を変えるのは僕らなんだ」という強い当事者意識が芽生えました。
壮大で無謀な事のように思える環境問題に、「根本的な解決」という希望を持たせてくれる内容です。
本書の最後に読者に対して、行動を促すメッセージが記されています。
「3.5%」という数字を用いて綴られた、著者の強いメッセージに心を打たれました。
是非、本書を多くの人に手に取っていただき、環境問題について改めて考える機会を持ってほしいと思いました。